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[文]えび2

チャイムが鳴り響き、それから二分ほど経って担任が入ってくる。
普段はここで静まるのだが、今日はやはりそうはいかないようだ。
クラスの半分ほどは窓際にへばりついたままだ。
外に立っている奴について、さまざまな憶測が飛び交っている。
彼は宇宙からの使者である。
突然変異種に違いない。
いやいや生体実験を受けて改造人間になってしまった哀れな被害者に違いない、等々。
そう、僕は校庭に現れたそれを『エビ』と表現したがもう少し加えるならばエビ人間だ。
2m近いであろう大きさは3階からの眺めでも
やや威圧感を持っていたが顔は真っ赤なエビそのものだ。ザリガニかもしれない。
まぁ、どうせ着ぐるみを着ているんだろう。理由は色々考えられそうだけど考える気はしない。
「今日は君たちに新しい友達を紹介します―」
うちの担任はいつも唐突にしゃべりだすし、声も決して大きくない。
だから必然的に僕らのほうが静かに聴くようになった。
が、今日はみな興奮していてとても静まりそうになく先生の声は半分程度しか聞こえない。
一瞬外のエビ男(性別は不明だが)が新しい友達なのかと思ったけど、
先週、週明けつまり今日に転校生がやってくるという話があったことを思い出す。
どう考えてもそちらの方が重要に思えるけど、
皆の関心は外に向かったままだ。ちょっと異様なほどに。
「彼は哀れな犠牲者なんだよ!」
「馬鹿だなぁ。着ぐるみに決まってるじゃないか」
「・・・さん、自己紹・・・・・・くだ・・・い」
「いや、あの看板の文字を見てみろよ。とても知ってる文字じゃないぜ?」
「え?でも…はい、では・・・(すぅ)はじめまして!」
「おい、外の奴どう思う?俺はやっぱり気ぐるみだと思うんだけどさぁ」
ひじをつついて、マルガリが話しかけてくる。
僕はというと周りの声に耳を傾けながら心は昨夜のロープレの続きを考えていた。
レベル上げをする必要性がある、雑魚が急に強くなった。
「さぁね。まぁ着ぐるみだろうかな」
レベル上げをシミュレートしながら適当に答える。
「OBかな?学校にでも文句があるんかねぇ。
 しかし見たか?微動だにしてなかったぜ。置物なんかもなぁ」
「・・・す!あの・・・皆さんよろ・・・くお願いし・・・・・・」
「はい、あり・・・・・・君たち仲良・・・・・・ょうね。
 あ、一番後・・・・・・いてる席に座っ・・・・・・・・・。
 ・・・外の方についてですが、警・・・・・・・ので近寄・・・・・・・・・・」
「俺気にしたこと無かったけどうちの学校に警備員とか常時いるんかな?
 取り合えず強引に追い出しちまえば良いのにさ」
「ふぅ」
ゲームの脳内シミュレーションはとうに終え、数日前に読んだ時代小説に出てきた
忍者の忍び足について考察も周囲の喧騒の静けさとともに終息させ坊主頭に目をやり、
これまた適当に言葉を発する。
「ま、色々難しいんじゃないのかな」

[文]えび1

「ねえ」
「ん?」
「もしね、明日が緑色ならどうする?」
「そうだね、そんなの決まってるじゃないか」
何が決まっているのか自分でも分からない。
「学校サボって釣りをする」
「じゃあ、昨日が雨なら?」
「・・・学校サボって鉄を打つ」
「なんで?」
「決まってるだろ、熱いうちに打たなくちゃいけないからさ」
彼女は満足したかのか、席へと戻っていった。僕は空想を再開する。
「ねぇねぇ、ちょっと悪いんだけどさ・・・」
良いタイミングだ。悪い意味で。
「あん」
「これなんだけどさ・・・」
僕は視線を向けずにしばし待つ。
「・・・・・」
やっぱり視線をやらないといけないらしい。差し出しているものを見てみる。
案の定、今日までの宿題だ。
彼は非常にまじめで勤勉な男だが、頭はあまりよくない。
教えてやるとうんうんうなずき、席に戻っていった。
まぁ、最低後二回は来るであろうが、これも毎度のこと。
さて気を取り直して、と思うと今度は外が騒がしい。
「何かあったの?」
隣の席に座っている女子に聞いてみる。
「さあ」
そっけない。仕方なく窓の方に行く。
「何?」
「おお、う~ん、何やよぉわからへんけど、何や変なもんがおるらしいで」
窓から校庭を見下ろす。
「なるほど変だ」
「だろぉ」
外には、エビがいた。

[文] ジュブナイル的ベタな出だし

高二になってからの初めての中間テストの手ごたえはばっちりで気分はよかった。
昼食の弁当も好物が並んでたし、初夏さながらの陽気と心地よい風が、
それと意識しなくても体を軽くしてくれているようで、そう、つまり今日は良い日だった。
「ここがお前の部屋か。もう少し整頓した方が良いんじゃないか」
うれしいことに明日は土曜日だから二日間ノンビリと羽を伸ばせそうである。
「本ばかりだな」
テスト勉強はほとんどやらないタイプ、つまり所謂不真面目なタイプなんだけれど、
良い点数に拘っていなくとも、やはり終わるとほっとするものである。
今日からしばらくは完全フリーの身だ。さて何をしてやろう。
そういえば、今日のロードショーは面白いとか木塚さんが言ってたような。
テレビ欄チェックした方が良いな。
「目覚まし時計が見当たらないな、私は朝が苦手だぞ」
そういえば、読みかけの本、クライマックスが楽しみだ。寝る前読んでしまおう。
「メシはまだなのか、実を言うと非常に楽しみにしてるんだぞ」
そういえば、月曜までのプリントまだやってなかったっけか。テスト明けに期限とは。
「おい、聞いてるのか、メシはいつなんだ。お、絵なんか描くのか。
 本に絵、さてはネクラだな?」
そういえば、明日晴れるのかな。
「風景しか描かんのか?マンガは描かないのか?マンガ」
そういえば、
「実を言うと私は絵に関してはちょっと自信があるんだぞ」
そういえばそういえばそういえばソウイエバー
「何を黙り込んでる。自分の部屋だろ?もっとリラックスしろよ。
 しかし君は人の話を聴けない最近の若者ってやつかね」
バーバーバー
「全くいかんぞちゃんと人の話は聴かないとな。
 ん、ないとは思うけどまだショック状態から立ち直ってないとか?」
―立ち直ってるわけないだろ!
「まぁなってしまったものは仕方ないさ。
 未来がどうなるにせよ、しばらくはこの状況が続くわけだろう?」
どさりとベッドに寝転がり、
ベッド上につんである本をパラパラやりながら、のうのうと言ってくる。
「仲良くやろうぜ。あ、ひょっとしてやっぱりだんまり無口なネクラ君か?
 そうだな本がこんなにあるしな。本がお友達って奴か。
 そうかそうか、うんうん。ま、今日からは私がいるから安心したまえ」
ぽいとパラパラするのに満足した本を床の上に放り出しながら、好き勝手言ってくる。
なんだか体の中心辺りにずっしりとした重みを感じ始めてきた。
なんだろう。いや考えるまでもない、さすがに腹が立ってきたのである。
うーむ、怒りが活力とはなるほどこういうことを言うのだなと実感する。
とかっこよく考えると少し落ち着いてきた気がしないでもない。
更に落ち着くためにも少し起こったことについて整理してみるのも良いかも知れない。

そう、あれは――

「そうだよ」
―優しい笑顔、うそのような優しさ。
「もうすぐ・・・」
―うそのように晴れ上がっている空。

「もうすぐ姉さんが生まれるんだ。」
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